ピアノでボケ防止
現在日本において認知症患者は400万人いるといわれていますが、厚生労働省によると、2025年には認知症患者が700万人におよぶと発表されています。
そのような状況の中、音楽がボケ防止に対して非常に効果的であることがさまざまな研究でわかっており、多くの学会で発表されてきました。
最近では、よくボケ防止のために音楽をやっているという人も私の周りにもたくさんいるようです。
どうして音楽がボケ防止にいいのでしょうか。
それにはもちろんちゃんとした科学的な根拠があるのです。
たとえば、フルートやトランペットなどの管楽器は、息を使いますよね。そのため、酸素が体に多くとりこまれ、脳に酸素がいきわたります。その結果脳が活性化されるということがわかっています。
次に、ヴァイオリンやビオラ、チェロなどの弦楽器は日ごろ使わない筋肉を使うことによって脳が刺激され、結果として脳が活性化されます。
しかし脳に最も効果的で、初心者からでも取り組むハードルが低いピアノが注目されています。
ピアノは脳と体をバランスよく使います。楽譜に書いてある記号を視覚的に読み取り、それを、脳の指令から指の動きにします。その繰り返しの練習によって脳の血流が増えることがわかっています。
そしてピアノは耳で音を聞くという行為も含まれています。単純に指を動かすパソコン業務のようなものとも違うのです。
楽譜や音を覚えることで記憶をつかさどる海馬や、大脳皮質における言語をつかさどる部分や、運動をつかさどる部分なども使います。
ロンドン大学のStewart L博士は被験者に楽譜を読むトレーニングを受けさせ、ピアノを弾くときの脳活動を解析したところ、上頭頂小葉という脳部位の活性が強くなるということを発見しました。
このようにピアノを弾くことは脳をまんべんなく使うのです。
まさにピアノは楽しみながらボケ防止には絶大な効果を発揮するというすばらしい習い事なのです。
テレビ番組『ホンマでっかTV』の脳科学者澤口先生も「ピアノが最も脳によい習い事である」というくらいピアノを弾くことと脳の活性には密接なかかわりがあるのです。
澤口先生いわく、ピアノは両手を使い左手と右手がそれぞればらばらの動きをすることや、楽譜を瞬間的にでも記憶しながら演奏し、次の演奏の楽譜を先読みする、などのことが、ほかの習い事にはない高度な動きであるということだそうです。
つまり、ピアノを練習することで自然と脳のあらゆる部分を鍛え、多くの機能を向上させることができるのです。