ピアノは手が小さい人と不利?
ピアノは手が大きい方が有利であると、とても多くの人が考えているのが事実です。
たしかに、手が大きければ大きいほどオクターブより広い範囲の音をより簡単に弾くことができます。リストやショパンの曲には難解で音域の広い曲がよくあり、オクターブ以上の音域を弾くのは難しく感じてしまうあもしれないが、それ以外のことでは手が小さいことで不利になるということはほとんどありません。
実際に、トレーニングして手を広げることによってかなりの部分をカバーすることができます。
手の大きい、小さいよりもてがかたいか、柔らかいかが重要なのです。
手が小さいから弾くことができる曲が少ないと思っていくつかの曲をあきらめてしまっている人もいるかもしれませんが、それは手が小さいから弾けないのではなく、手が十分に広がっていないからであることがしばしばあるのです。
じっさいに、一流のピアニストの人でも手が小さい人がいるのです。
たとえば、有名なピアニストである中村紘子さんはオクターブまでしか届きませんが、その演奏は「絢爛たる技巧」と評されるほどすばらしいものなのです。
さらに2008年から2012年にかけて開催された「ショパン国際ピアノコンクール in Asia」において、史上初、5年連続で1位を受賞するという快挙を成し遂げた天才ピアニストである牛田 智大さんは、史上最年少である12歳でピアニストデビューしました。
もちろん、12歳であったときは手が大きいはずがありません。しかし、多くの人が彼の演奏技術や感性に感銘を受けました。
この映像が当時12歳の時の牛田さんの「愛の夢」の演奏です。
私は数々のピアニストの「愛の夢」をきいてきましたが、彼の演奏は特別美しく感じます。
このように、難しく音域の広いリストの曲であっても、これだけ華麗に演奏できてしまうのです。
手が小さいことは、トレーニングで十分にカバーできるのです。
手が小さい人のためのトレーニング
手の小さい人は、腕の筋力や手首、手の関節のしなやかさを駆使して効率の良い弾き方をする必要があります。
手を柔らかくして広げることができるトレーニングを行っていきましょう。
指と指の間の水かきの部分あたりをもみほぐしましょう。指の第3関節と第3関節の骨のない部分をもみほぐすことによって、かなり手の広がり方が変わってきます。
この時、ほぐす力が強くなりすぎないように注意しましょう。
このトレーニングは入浴のときなど体があったまって、血行が良くなっているときにやると効果的です。
まずは親指をドの鍵盤に置き、小指が届くところまで指をひらき、音を出していきましょう。
これを同様に、人差し指と中指、中指と薬指、薬指と小指、の間でも行い、すべての関節を柔らかくしていきましょう。
この時手首が上がってしまわないように注意しましょう。
これらのトレーニングで気を付けなければいけないことは、手を広げようと意識するばかりに手に力が入って手を痛めてしまうことがあり得るので、ゆっくりと焦らずトレーニングをしていきましょう。